いまさら聞けないSDGsとは?簡単に解説します
更新日:2023年10月30日
SDGsとは「持続可能な開発目標」を指す言葉 出典:国際連合広報センター
最近聞くようになったSDGsという言葉。街中でも、丸い虹のようなデザインを目にすることが増えました。SDGsとは「持続可能な開発目標」を指しますが、実は詳しく知らないという人も多いのではないでしょうか。SDGsの目標ができた理由、日本のSDGsの達成度合い、SDGsで先端的な取り組みをしている秋田県能代市の事例などを簡単に説明いたします。
- この記事の著者
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- エネルギーのまち能代 編集部
- 皆様は「洋上風力発電」をご存知でしょうか。秋田県能代(のしろ)市では、日本で初めての「大規模商業運転」が2022年から始まっています。
このサイトでは風力発電の話題はもちろん、再生可能エネルギーや環境問題についても幅広く解説しています!洋上風力発電で未来をひらく、能代の「いま」をご覧ください。
SDGsは持続可能な開発目標
SDGsとはSustainable Development Goalsの頭文字をとったもので、日本語では「持続可能な開発目標」と訳されます。SDGsを提唱する国連本部によれば、「持続可能」な開発とは、「将来の世代の欲求を満たしつつ現在の世代の欲求も満足させるような開発」と定義づけられ、人々と地球が誰も取り残されずに、持続可能な未来を築くことが求められています。
環境問題、貧困、差別に関する問題など、現在世界では様々な問題が起きています。これらの問題を解決するためには、個人や社会の福祉のために必要な経済成長、社会的包摂、環境保全という3つの要素の調和を図ることが不可欠だと、国際連合では説明しています。
SDGsという概念は、2015年9月ニューヨークの国連本部で生まれました。SDGsには、全部で17個の解決すべき大きなテーマがあり、それぞれのテーマごとに10個程度のターゲットと呼ばれる、169の具体的な達成目標が決まっています。
これからも私たちがこの世界で暮らしていくために、2030年までにこの目標を達成しようと世界中で取り組みが進められています。
SDGsの 前身、MDGs
このような概念はSDGsが生まれる前にもありました。MDGs(Millennium Development Goals: ミレニアム開発目標 )とよばれる国際開発目標です。
MDGsは2000年9月に行われた「国連ミレニアム・サミット」で採択された国際的な目標です。開発途上国向けの開発目標として、2015年を期限とした8つの目標を設定したものでしたが、一定の成果を出したものの、未達成の課題も残りました。
このMDGsで未達成となった課題を引き継ぎ、現代の環境問題や社会課題まで含めてより幅広い問題を解決しようとするのがSDGsで、MDGsより多くのテーマやターゲットが設定されています。
SDGsでは目標が先進国も対象となっていて、取り組むのは国や自治体だけでなく、民間の企業や私たち個人が取り組みの主体とされていることも、MDGsとの違いと言えるでしょう。
最も深刻なテーマ、地球温暖化
SDGs17のテーマの中で最も深刻な問題は地球温暖化であると考えられています。例えば、個別に掲げられているものの中では、以下の目標が関連しています。
SDGsの中の地球温暖化に関わるテーマ 出典:国際連合広報センター
※左上から目標 7:エネルギーをみんなに 目標13:気候変動に具体的な対策を 目標14:海の豊かさを守ろう 目標15:陸の豊かさも守ろう
地球の気温は上がり続け、世界各地で地球温暖化による深刻な問題が起きています。例えばポリネシアにある島国ツバルなどは、気候変動による海面上昇で、国自体が消滅してしまう可能性があると指摘されています。
日本でも、今までにないような大雨や台風などによる気象災害が年々多くなっています。地球温暖化対策を急がなければ、地球の環境は人類にとって、持続し続けることが困難となります。
日本のSDGs達成度
日本のSDGsの達成度は? 出典:国際連合広報センター
世界各国のSDGs達成度を評価したSustainable Development Report(持続可能な開発報告書)を発表する国際的な研究組織『持続可能な開発ソリューション・ネットワーク(SDSN)』によると、2023年度の日本のSDGs達成度は21位。2015年の15位から徐々に順位を落としており、2023年に初めてトップ20から脱落してしまいました。
日本で達成度が高いと評価された目標は下記2点で、これらはすでに達成していると評価されました。
目標 4:質の高い教育をみんなに
目標 9:産業と技術革新の基盤を作ろう
一方達成度が低いと評価された目標は、5項目。
目標 5:ジェンダー平等を実現しよう
目標12:作る責任 つかう責任
目標13:気候変動に具体的な対策を
目標14:海の豊かさを守ろう
目標15:陸の豊かさも守ろう
17の目標の中でも深刻な課題であると考えられている「目標13:気候変動に具体的な対策を」については特に、化石燃料の燃焼やセメント製造で排出される二酸化炭素が未だに多いことで、具体的な対策が停滞しているとみなされました。
SDGsの市場機会価値
PwC(プライスウォーターハウスクーパース)の2015年の調査によると、SDGsの市場機会価値は年間12兆ドル、2030年までに世界で創出される雇用は3億8000万人だと言われています。このグラフは、2030年における、分野別の市場規模を試算したグラフです。
SDGsのビジネス機会の試算 出典:月間事業構想
国連で採択された『SDGs』は、今やビジネス界でも共通言語。SDGsの普及とともに、市場のニーズ、取引先からのニーズとして、SDGsへの対応が求められるようになってきています。日本でも、日本経済団体連合会や各業界団体、地方銀行、個別企業にも取組が広がっていますが、特に、世界を相手に事業を展開する大企業ではバリューチェーンの全体の見直しが始まっていて、関連するサプライヤーにも影響が広がると考えられています。
さらに、SDGsは社会が抱える課題が網羅されていて、企業としてはリスクとチャンスに気づくためのツールとして用いることができます。
秋田県能代市のSDGs
洋上風力発電の大規模商用運転が開始される 出典:能代市HP
日本政府はSDGs達成のため、温室効果ガスの削減や、エネルギー安全保障の観点から、再生可能エネルギーでの発電に力を入れていくことを方針として定めました。
秋田県能代市では風況の良さから風力発電の導入を促進しており、現在は陸上・洋上の両方で風力発電に取り組んでいます。現在能代港港湾区域内では、4.2MW(メガワット)風車が20基設置されています。2022年12月より運転が開始された洋上風力発電の大規模商用運転は日本初の洋上風力発電事業化案件として注目され、今後の日本の洋上風力発電導入へ弾みがつくと期待されている事業です。
SDGsまとめ
SDGsは「持続可能な開発目標」を意味します。人類が地球とともに、現在と将来の両方を見据えたうえで、持続できる世界を開発するための17の目標と、日本が置かれる状況を能代市の例をもとにお伝えしました。
SDGsは、私たち一人ひとりに行動を起こすことが求められます。すべてに関わることは難しいかもしれませんが、興味がある分野を少し気にするだけで、もしかしたら、世界は変わるかも。