次世代エネルギー

知っているようで知らない「自然エネルギーと再生可能エネルギー」の違い

更新日:2023年10月30日

知っているようで知らない「自然エネルギーと再生可能エネルギー」の違い

出典:iStock

 

「自然エネルギーと再生可能エネルギー」と並べて書くと、なんだか混乱してしまいますね。なんとなく環境に優しいエネルギーだろうということは文面から伝わりますが、この自然エネルギーと再生可能エネルギーという言葉には違いがあるのでしょうか。

厳密に言えば、自然エネルギーは「再生可能エネルギーの1つの分野」です。何をポイントに使い分けをしているのか、それぞれのエネルギーの特徴もあわせてご説明します。

この記事の著者
エネルギーのまち能代 編集部
皆様は「洋上風力発電」をご存知でしょうか。秋田県能代(のしろ)市では、日本で初めての「大規模商業運転」が2022年から始まっています。
このサイトでは風力発電の話題はもちろん、再生可能エネルギーや環境問題についても幅広く解説しています!洋上風力発電で未来をひらく、能代の「いま」をご覧ください。

自然エネルギーは再生可能エネルギーの一部

自然現象を原資として発電するエネルギーは自然エネルギー 出典:iStock自然現象を原資として発電するエネルギーは自然エネルギー 出典:iStock 

 

自然エネルギーは再生可能エネルギーの1つの分野です。「自然現象」を原資として発電することを「自然エネルギー」と呼んでいます。

 

●再生可能エネルギーの定義

資源エネルギー庁では、再生可能エネルギーを次のように定義づけています。 

エネルギー供給事業者による非化石エネルギー源の利用及び化石エネルギー原料の有効な利用の促進に関する法律(エネルギー供給構造高度化法)においては、「再生可能エネルギー源」について、「太陽光、風力その他非化石エネルギー源のうち、エネルギー源として永続的に利用することができると認められるものとして政令で定めるもの」と定義されており、政令において、太陽光・風力・水力・地熱・太陽熱・大気中の熱その他の自然界に存する熱・バイオマスが定められています。

 

具体的には太陽光・地熱・水力・風力など、地球がそこに存在する限り、いつまでも使うことができ、自然現象から生み出されるエネルギーが「自然エネルギー」と呼称されます。

自然エネルギーは、発電量が天気等の条件に左右されてしまうというデメリットがあります。ですが、もともとその地域にある自然現象を原資に発電を行っているため、国内で生産することができ、原料を輸入する必要がありません。化石燃料に変わる次世代エネルギーとして、世界的に導入が進められています。

ずっと使える再生可能エネルギー

「自然エネルギーは再生可能エネルギーの一部」 出典:筆者にて作成・撮影「自然エネルギーは再生可能エネルギーの一部」 出典:筆者にて作成・撮影

 

これに対して再生可能エネルギーとは、文字通り「再利用できる」エネルギー全般を指して「再生可能エネルギー」と呼んでいます。

例えばバイオマスエネルギーとは、「生物資源=動物や植物」が元になったエネルギーです。
バイオマスは様々な資源を利用するため、利用方法も幅広くなっています。間伐材を木質ペレットに加工して燃焼させる方法や、汚泥などを発酵させてメタンガスを発生させる方法。

通常はゴミとして捨てられる使用済み油・古着や、ミドリムシなどの微細藻類などからも化学反応によって液体燃料を取り出すなど、実験的な取り組みも進んでいます。

他にも地下水、河川水、下水などの温度差で発電する「温度差エネルギー」や、海水と淡水の塩分濃度差で発電を行う「濃度差エネルギー」などの発電方式もあります。

これらは、厳密にいえば自然エネルギーではなく、人間が生成に関わる事で資源となる再生可能エネルギーに分類されます。

いずれも再利用可能な資源として、環境に優しい再生可能エネルギーの枠組みに入っていますが、資源が分散していることなどから小規模であったり、研究途上でコストがかかったりする事が、普及の阻害要因としてあげられています。

再生可能エネルギー拡大の課題

再生可能エネルギーが拡大すると出てくる課題 出典:iStock再生可能エネルギーが拡大すると出てくる課題 出典:iStock 

 

自然エネルギーを含む、再生可能エネルギーに関しては、環境に優しく、低炭素でメリットばかりのようにも思えますが、以下のような課題もあります。

・火力発電等に比べて、発電効率が悪くコストがかかる。
・住民や周辺環境への配慮が必要だが、事例が少ない場合がある。
・発電できる場所や量が自然現象によって左右されてしまうため、発電量が安定しない。

ただこれらの問題点は、発電設備の設置場所や、科学技術の進歩などで今後改善されていくとことが想定されています。

温室効果ガスを排出せず、国内で生産できる再生可能エネルギーは長期的な環境負荷を考えた場合、活用していきたい重要なエネルギーです。

脱炭素化のキーファクターとなるため、2023年度から10年間で150兆円を超えるとされるGX投資(グリーントランスフォーメーション投資)の流れもあり、国策として、今後ますます拡大が期待される分野であることは間違いありません。

※GX投資…再生可能エネルギー等、温室効果ガスを排出させないクリーンエネルギーでの経済社会システムや産業構造の変換による成長を期待した投資が注目されています。

自然エネルギーと再エネまとめ

出典:iStock出典:iStock

 

今回は自然エネルギーと再生可能エネルギーに分類される様々なエネルギーの特徴に触れながら両者の違いについてお伝えいたしました。

近しいニュアンスをもつ言葉ではありますが、ポイントはエネルギーの資源が「自然現象」かどうか。自然エネルギーは「再生可能エネルギーの中の1つの分野」であると考えれば大丈夫です。

安定した電力供給実現のためには、各エネルギーにおけるメリット・デメリットを理解することが大切です。その上で相互を補完し、必要な電力を確保していく仕組み作りが必要になっていくでしょう。2050年カーボンニュートラル実現に向け、再生可能エネルギー転換への挑戦が求められています。

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