環境に関する意識の高まり

新しいライフスタイル「エシカル消費」とは

更新日:2023年10月30日

新しいライフスタイルになりつつある「エシカル消費」 出典:iStock

新しいライフスタイルになりつつある「エシカル消費」 出典:iStock

 

皆さんは「エシカル消費」という言葉をご存じですか。
日本ではまだ馴染みの薄い言葉ですが、海外では、ライフスタイルの一つとして知られています。この記事では「エシカル消費」について、説明します。

 

この記事の著者
エネルギーのまち能代 編集部
皆様は「洋上風力発電」をご存知でしょうか。秋田県能代(のしろ)市では、日本で初めての「大規模商業運転」が2022年から始まっています。
このサイトでは風力発電の話題はもちろん、再生可能エネルギーや環境問題についても幅広く解説しています!洋上風力発電で未来をひらく、能代の「いま」をご覧ください。

エシカル消費は、持続可能な社会を意識した消費行動

チョコレートの原料となるカカオ豆(この写真はイメージです。本文の内容と関係はありません) 出典:iStockチョコレートの原料となるカカオ豆(この写真はイメージです。本文の内容と関係はありません) 出典:iStock

 

「エシカル」には「倫理的な」という意味があります。SDGs12番「つくる責任つかう責任」というテーマにも深く関連しています。
関連記事
いまさら聞けないSDGsとは?簡単に解説します

持続可能な社会が大切なのは理解できるのですが、私たちはモノやサービスを「消費」せずに生きていくことはできません。
モノやサービスを購入する時に、環境の課題や社会的な課題の解決を考えて、持続可能な消費活動を行うことを「エシカル消費」と呼びます。

まだ、ちょっとわかりにくいですね。

例えば、チョコレートを買うシーンを思い浮かべてください。何を基準にして商品を選ぶでしょうか。
価格・美味しさ・ブランド……など様々な基準がありますよね。
この基準のひとつとして「エシカル」が追加されるイメージです。

チョコレートの原料となるカカオ豆は、ほとんどを海外から輸入しています。
残念ながら、カカオ豆を作る一部の農園では、子供たちを劣悪な条件で働かせたり、農園拡張のために過度に森林を切り開いたりして環境破壊の一因となっているものも存在しています。もし、価格やおいしさだけを基準として、このような農園がつくるカカオ豆を原料としたチョコレートを買うと、それは、社会的な課題の解決には繋がりません。

持続可能な社会の実現のためには、モノやサービスの製造過程や提供過程においても、社会的課題や環境的課題の解決に寄与しているのかに思いを馳せることで、世界の課題を少しずつ変えていけると考える消費活動を「エシカル消費」と呼びます。

エシカル消費は、消費者の声で社会課題の解決へ貢献すること

ひとりひとりの消費行動が社会全体を変えることができる可能性を秘める 出典:iStockひとりひとりの消費行動が社会全体を変えることができる可能性を秘める 出典:iStock

 

日本国内における家計消費額の総額は、2020年に約280.5兆円で、国内総生産(GDP)の50%以上を占めています。一人ひとりの消費行動は小さいかもしれませんが、全体としてみると、経済活動の半分が一般消費者の支出です。消費者の声は、日本の経済活動に大きな影響を与えています。
一人ひとりの消費行動の一部がエシカル消費に切り替わることで、社会全体にインパクトを与える事が出来ます。

企業の社会的責任(CSR)観点からもエシカル消費に着目

エシカル消費は新たな市場を生み出している 出典:iStockエシカル消費は新たな市場を生み出している 出典:iStock

 

一方でモノやサービスを提供する企業はエシカル消費をどのように捉えているのでしょうか。

企業は利益を追求するための団体ではありますが、目先の利益だけを追求して、社会課題をないがしろにすると、消費者や取引先の信用を失い、結果的には利益を得ることが出来ません。そこで登場した概念がCSRという概念です。CSRとは、Corporate Social Responsibilityの頭文字をとったもので、日本語では「企業の社会的責任」という言葉となっています。

エシカル消費が拡がる事は、企業にとっては、「エシカル消費への対応」をCSR活動としてアピールすることができ、企業にとってもメリットが生まれました。欧米では、「エシカル消費」が拡がり始めており、それに応える形で企業側もモノやサービスがどのように提供されているかの過程を「ストーリー」として公開するようになっています。モノやサービスの価値として、「ストーリー」が新たな付加価値となり、新しい市場やビジネスが誕生しています。

 

<事例>気候問題は、私たちのビジネス課題(Patagonia

気候問題は、私たちのビジネス課題 出典:PRTimes気候問題は、私たちのビジネス課題 出典:PRTimes

 

アウトドアファッションで有名なパタゴニアは、気候問題をビジネス課題としてとらえ、製品の製造方法を根本的に見直すことで、CO2の削減を劇的に削減しようとしています。
その取り組みは、多くのユーザーに知られ、今では「パーパス経営()」の成功事例として、経営の教科書にも登場しています。自社の製造工程だけでなく、サプライチェーンや素材の製造などパートナーも含め、CO2削減に取り組んでいます。

<パタゴニアが取り組むCO2削減の具体的行動>

  • ・製造する衣類から石油を排除する
  • ・環境損益計算に基づいて製品をつくる(その製品の販売におけるCO2、水、廃棄物のコストを算出し、環境コストに見合った製品を作る)
  • ・サプライチェーンの炭素排出削減の支援


詳しく知りたい方は、パタゴニア https://www.patagonia.jp/climate-goals/)のホームページもチェックしてみてください。

パーパス経営

パーパス経営とは、企業が目的や存在意義を明確にして、経営者と従業員が一丸となって事業を進めていく経営モデルを指します。

エシカル消費って具体的には何をすれば良いの?

エシカル消費が社会課題の解決に繋がり、新たなビジネスチャンスとして拡がってきていることはわかりましたが、具体的には何をすれば良いのでしょうか。

エシカル消費は、これまでのモノやサービスを選ぶときの基準として「エシカル」(社会的な課題の解決に寄与しているのか)が加わることを指しますので、エシカル消費には、様々な方法やスタイルがあります。以下に一例を挙げてみます。

・災害の被災地の商品等を購入するような応援消費
・省エネ家電等の製品を購入してエネルギー消費を減らす
・見切り食品を購入して食品ロスを防ぐ
・古着やリサイクル品を購入して廃棄物を減らす
・食材やエネルギーの地産地消により地域の発展に貢献する

モノやサービスを購入する時に、その購入行動・消費行動は「エシカルなのか」(社会的な課題の解決に寄与しているのか?)に思いを馳せることがエシカル消費なのです。

まとめ:エシカル消費は、より良い未来を選ぶこと

あなたの買い物で、より良い未来を創る 出典:iStockあなたの買い物で、より良い未来を創る 出典:iStock

普段の買い物で、社会や世界をより良い未来に変えていきたいですね。あなたも、できることからエシカル消費を始めてみませんか?

新着記事

ページトップへもどる