地域と洋上風力発電

洋上風力のまち能代市が取り組む、地域共生の新しいカタチ

更新日:2023年12月31日

洋上風力のまち能代市が取り組む、地域共生の新しいカタチ

出典:東急不動産株式会社

 

風力発電事業には、地域の理解、地域との調整が必要となりますが、この「地域の理解」や「地域との調整」の具体的な事例は少ないのが現状です。20234月にオープンした「TENOHA能代」は、古い学校をリノベーションした施設で、地域の方々が交流できるスペースの他、企業のオフィススペースもあります。能代に住む人や地元企業だけではなく、能代市外の再生可能エネルギー関連企業も参加する、民間を巻き込んだ新たな取り組みである「TENOHA能代」が仕掛ける新しい形の地域共生プロジェクトについてご紹介していきます。

この記事の著者
エネルギーのまち能代 編集部
皆様は「洋上風力発電」をご存知でしょうか。秋田県能代(のしろ)市では、日本で初めての「大規模商業運転」が2022年から始まっています。
このサイトでは風力発電の話題はもちろん、再生可能エネルギーや環境問題についても幅広く解説しています!洋上風力発電で未来をひらく、能代の「いま」をご覧ください。

能代市常盤地区に誕生した「TENOHA能代」

TENOHA能代を利用する子供達 出典:東急不動産株式会社

TENOHA能代を利用する子供達 出典:東急不動産株式会社

 

2023年4月、能代市常盤地区にオープンした「TENOHA能代」は、令和2年に閉校となった常盤小中学校の校舎の一部をリノベーションした施設です。シェアオフィスやレンタルオフィス、地域交流施設として、まちづくりを得意とする東急不動産が運用を開始しました。

 

144年の歴史に幕を下ろした常盤小中学校

旧常盤小中学校 出典:東急不動産株式会社

旧常盤小中学校 出典:東急不動産株式会社

 

明治8年に創立した常盤小中学校は、平成31年に常盤中学校、令和2年に常盤小学校が閉校し、144年の歴史に幕を下ろしました。
この校舎は、木都能代を象徴する木をふんだんに使っており、常盤小学校、中学校、常盤地域連携施設を併設した施設でした。「TENOHA能代」は、単なる遊休資産の活用だけではなく、地域活性化の取り組みに繋がる工夫が多くなされています。

 

TENOHA能代」の施設

地域交流の共有空間「みんなのリビング」

地域交流の拠点となる「みんなのリビング」 出典:東急不動産株式会社

地域交流の拠点となる「みんなのリビング」 出典:東急不動産株式会社

 

誰でも、いつでも、気軽に立ち寄れる地域の共有空間。訪れる人たちは、休憩、勉強、仕事など、各々の時間を自由に過ごせます。また、定期的に地域参加型のイベントやワークショップも開催しています。

 

リモートワークも可能なシェアオフィス(入居者募集中)

職員室をリノベーションしたシェアオフィス 出典:東急不動産株式会社

職員室をリノベーションしたシェアオフィス 出典:東急不動産株式会社

 

職員室をリノベーションした会員制のシェアオフィスは、個人のスタートアップやテレワーク用のオフィスにも利用ができます。空港から市街地に向かう途中にあるので、出張時にも使えそうです。

 

元教室だった広い空間を活用したレンタルオフィス(入居者募集中)

元教室だったレンタルオフィス 出典:東急不動産株式会社

元教室だったレンタルオフィス 出典:東急不動産株式会社

 

サテライトオフィスとしても使える、契約者専用のレンタルオフィスです。教室をリノベーションしています。

 

TENOHA能代のコンセプトは『地域参加』

TENOHA能代で学習する地域の子供達 出典:東急不動産株式会社

TENOHA能代で学習する地域の子供達 出典:東急不動産株式会社

 

常盤小中学校の利活用を行う東急不動産は、「脱炭素社会の実現」「地域との共生と相互発展」「日本のエネルギー自給率の向上」の3つの社会課題の解決を掲げ、再生可能エネルギー事業を展開しています。
東急不動産の「TENOHA」事業は、「再生可能エネルギーの導入」を「地域のまちづくり」に活かすため、地域の利活用(リノベーション)や環境配慮型建築を通じ、「人・モノ・コトが育つ」場所を生み出すことを目指しています。
地域交流スペースやワーキングスペースなど、地域に開かれた場を作っていくことで、地域の課題解決や活性化に繋げていくのです。秋田県では、洋上風力発電事業をけん引する能代市と男鹿市に白羽の矢が立ちました。

 

地域の「やりたい」を叶える施設づくりで愛着を

みんなでつくるプロジェクトのイメージ図 出典:東急不動産株式会社資料より編集部にて作成

みんなでつくるプロジェクトのイメージ図 出典:東急不動産株式会社資料より編集部にて作成

 

「TENOHA能代」の開業前後に実施された「みんなでつくるプロジェクト」は、能代市に住む方々が、企業と共に、自分たちで「やりたいこと」を考えるプロジェクトです。このプロジェクトでは、ワークショップやイベントに参加した地域住民が意見を出し合い、今後の「TENOHA能代」をどのように運用していきたいかを自分たちで考えていきます。地域住民の「やりたい」を叶える施設づくりを進めていくことで、リノベーション後も愛着を持ってもらえるような工夫を進めています。

このプロジェクトが関わるのは、地域住民だけではありません。TENOHA能代の考え方に賛同した企業がパートナー企業で参加します。TENOHA能代では、プロジェクトメンバーである地元企業や学校に加え、能代市沖で日本初の一般海域における洋上風力発電事業を展開する、三菱商事洋上風力株式会社がパートナー企業として参画しています。

再エネ×地域共生を学ぶ 出典:三菱商事洋上風力株式会社

再エネ×地域共生を学ぶ 出典:三菱商事洋上風力株式会社

 

パートナー企業はTENOHA能代のイベントを通じて、情報発信や意見交換をする機会を得ることができることが特徴です。2023年5月には、三菱商事洋上風力株式会社は「再エネ×地域共生」をテーマに、国際教養大学の学生に向けた出張授業を開催し、国内や秋田県での再エネ・洋上風力業界の動向の講義や、同社が実施する洋上風力と地域共生の取り組みに関するディスカッションを参加学生と一緒に行いました。
このような「TENOHA能代のイベント」には能代市や地域の団体、住民も参加します。パートナー企業は実態のある地域共生への参加ができ、施設にも、地域の住民と地域共生を目指すパートナー企業の懸け橋としての役割を期待することができそうです。

 

「みんなでつくる」能代の地域共生イベント

ワークショップの風景 出典:東急不動産株式会社

ワークショップの風景 出典:東急不動産株式会社

 

みんなでつくるプロジェクトで開催する、地域共生型の施設づくりの事例をご紹介します。

 

地域共生ワークショップ:みんなで家具をつくろう(20233月4日/4月15日)

ワークショップを通して生まれた家具のアイデア 出典:東急不動産株式会社

ワークショップを通して生まれた家具のアイデア 出典:東急不動産株式会社

 

TENOHA能代で開催された「家具づくりワークショップ」には、秋田県内の親子連れを中心に約50名が参加しました。TENOHA能代に設置する家具に関してアイデアを出し合い、そのアイデアをもとに家具を製作し、実際に設置しました。このイベントは、TENOHA能代のオープン前に開催され、ワークショップでつくられた家具は、今もTENOHA能代で多くの利用者に使われています。
参加した小学生からは「学校がなくなるのは寂しいけど、学校の教室や職員室をどのように使っていくかを考えるのは楽しかった」「開業してから遊びに来たい」という声もあり、地域の方々は、施設づくりやまちづくりに積極的に参加しました。

完成した家具と一緒に記念撮影 出典:東急不動産株式会社

完成した家具と一緒に記念撮影 出典:東急不動産株式会社

 

2日間にかけて行われたこのワークショップでは、地域の方々が昼食を用意するなど、参加者同士の新たなコミュニケーションが生まれる場にもなりました。

地域の方が用意してくれたおやつ 出典:東急不動産株式会社

地域の方が用意してくれたおやつ 出典:東急不動産株式会社

 

地域共生ワークショップ:みんなで遊べる学校をつくろう(2023年8月11日)

みんなで作った丸い卓球台 出典:東急不動産株式会社

みんなで作った丸い卓球台 出典:東急不動産株式会社

 

地域の子供たちが遊びに来たくなるような施設づくりを考えるワークショップでは、卓球台づくり・モルック※づくりが行われました。
座学で作り方を学んだあと、実際に卓球台を製作していきます。この時に作った卓球台は天板が丸く、TENOHA能代にしかない珍しいもので、完成した卓球台で遊ぶときには、普段の卓球台とはまた違った感覚となり、施設のランドマーク的な設備となりました。

※モルックとは、木の棒を転がして投げ、木でできた的に当てる、ボウリングのようなアウトドアスポーツです。老若男女が楽しめるスポーツであるため木都である能代ではお祭り等でも大会が開催されています。

 

能代市の地域共生の施策「みんなでつくるプロジェクト」

TENOHA能代 出典:東急不動産株式会社

TENOHA能代 出典:東急不動産株式会社

 

再生可能エネルギーの導入を地域のまちづくりに活かす取り組みとして開業したTENOHA能代は、地域の方々が参加し、地域活性化に結びつけていくプロジェクトでした。
この取り組みは、秋田県が日本の洋上風力をリードする地域であり先進的な取り組みです。洋上風力発電事業者と地域の方々の繋がりを創る一つの事例として、新しい風を吹かせるかもしれません。


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TENOHA NOSHIRO – テノハ能代|能代の新たな地域交流スペース&ワークスペース 

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070-8460-3117(TENOHA事業部 直通)

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