水素社会の実現がカーボンニュートラル達成のカギ
更新日:2024年1月4日
日本がリードしている水素社会(写真はイメージ) 出典:iStock
再生可能エネルギーのひとつとして注目される水素。水素社会の実現において、日本がアドバンテージを持っていることをご存じでしたか?今回は、カーボンニュートラルのカギとなる水素社会について、能代市の取り組みと共にご紹介します。
- この記事の著者
-
- エネルギーのまち能代 編集部
- 皆様は「洋上風力発電」をご存知でしょうか。秋田県能代(のしろ)市では、日本で初めての「大規模商業運転」が2022年から始まっています。
このサイトでは風力発電の話題はもちろん、再生可能エネルギーや環境問題についても幅広く解説しています!洋上風力発電で未来をひらく、能代の「いま」をご覧ください。
もくじ
水素社会実現に向けた取り組み
水素をエネルギーや燃料として使うことが浸透した社会を水素社会と呼ぶ(写真はイメージ) 出典:iStock
現在注目されている「水素社会」は、日々の生活や経済活動で、水素をエネルギーや燃料として使うことが浸透した社会です。水素エネルギーを活用した製品の開発を、国を挙げて進めていますが、代表的な活用例には、次のようなものが挙げられます。
エネファームは、発電と同時にお湯も作り出せる仕組みの、家庭用燃料電池です。ガスに含まれる水素と、空気中の酸素を化学反応させ、発生した熱でお湯を沸かす、自宅でできる発電です。
エネファームのメリットは、優れた省エネ力と、節電につながるという2点。通常、電気は自宅から離れた場所から送電されるので、送電線を通じた送電の際のロスが発生します。自宅でエネルギーを発生させることができるエネファームは、送電ロスや電力会社からの電力購入を減らせる、節電効果が高い仕組みとなっています。
水素と酸素の化学反応により発電されたエネルギーで動く燃料電池車両
自動車業界でも、クリーンエネルギー自動車として注目を集める燃料電池車両。水素と酸素の化学反応により発電された電気エネルギーでモーターを回し、走行することができる自動車です。
水素エネルギーは、FCVの燃料電池の発電や、水素エネルギー車の燃料として使われていて、走行時に大気汚染の原因となる有害ガス・大気汚染物質を排出しません。
日本では2018年、大手自動車メーカーがFCバスを国内で初めて形式認証を取得し、販売も開始しています。2022年10月時点では、FCバスの累計導入台数は123台とされており、今後はFCフォークリフトなど他車種や、他のエリアでも拡大が広がっていくとされています。
水素航空機・水素発電所
※2023年段階では実用化されておらず、今後取り組みが進む分野です。
水素航空機や水素発電所の本格的な導入はまだ少し先の話となりますが、世界各国で将来的な実用化が検討されています。日本国内では、2022年4月、山梨県で水素専焼発電所の連続的な実証運転が開始されました。
2050年のカーボンニュートラルの実現に向けたカギとなる、水素。水素の利活用は燃料だけではなく、原料としても活用ができる可能性があることから、幅広い産業での活用が見込まれています。
日本では、水素の社会実装に向けて、2017年、世界で初めて「水素基本戦略」を策定し、水素を「つくり」「はこび」「ためて」「つかう」取り組みを、世界に向けて推進してきました。
水素社会の実現に向けた能代市の取り組み
JAXA能代ロケット実験場 出典:JAXA
秋田県能代市では、水素社会の実現に向けた取り組みが進められています。恵まれた風況条件から、風力発電設備の集積拡大が見込まれていることに加え、JAXA能代ロケット実験場が有する最先端の液体水素を活用した研究開発拠点があることなど、水素社会実現への優位性があります。
エネルギーのまちとして、地元産業の水素関連分野への参入や、環境負荷の小さなまちづくりを推進するなどといった、取り組みを進めています。
水素社会へのアドバンテージ:「陸上・洋上風力発電」
能代市は陸上風力発電・洋上風力発電と2種類の風力発電を備えています。全国的にも風況に恵まれた地域であり、風力発電を中心とした再生可能エネルギーの導入が進んでいます。
「エネルギーのまち」として市をあげて水素社会に向けた取り組みも進めており、将来的には風力発電の電力を利用した地域循環型の水素サプライチェーンを作ることも可能と考えます。水素エネルギーを活用することが、再生可能エネルギーの更なる導入拡大にもつながるでしょう。
水素社会へのアドバンテージ:「JAXA能代ロケット実験場」
秋田県能代市には液体水素の先進的な実験が行われている、JAXA能代ロケット実験場があります。このJAXA能代ロケット実験場を中心に、水素関係の実証フィールドとして水素関連企業の利用、技術集約への取り組みを能代市は進めています。
地域全体を液体水素の研究拠点化することで、水素研究の先進地として水素関連の企業や人が集まります。他にも能代港をカーボンニュートラルポートとする取り組みも進んでおり、他地域に比べて水素社会実現に向けたアドバンテージがあると言えるでしょう。
水素社会の実現でカーボンニュートラルな未来へ
水素エネルギーは課題が残っているが研究開発が進んでいる(写真はイメージ) 出典:iStock
水素社会の実現に向けては、技術・コスト・インフラなどの多くの課題が残っていますが、その研究開発は、日本を含め世界各国で進められています。環境に優しい、水素社会の実現が期待されています。