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世界の洋上風力発電:浮体式洋上風力(FOW)発電の世界情勢

更新日:2024年10月31日

世界の洋上風力発電:浮体式洋上風力(FOW)発電の世界情勢

出典:GWEC

 

これまで欧州を中心に開発されてきた洋上風力発電所は、ヨーロッパの遠浅な海域に適した着床式が主流でした。しかし、洋上風力発電の普及には遠浅ではない海での風力発電の実現が必須です。そのため、世界各国で浮体式洋上風力(FOW)発電の開発競争が始まりました。この記事では、世界の浮体式洋上風力発電情勢をお伝えします。

この記事の著者
エネルギーのまち能代 編集部
皆様は「洋上風力発電」をご存知でしょうか。秋田県能代(のしろ)市では、日本で初めての「大規模商業運転」が2022年から始まっています。
このサイトでは風力発電の話題はもちろん、再生可能エネルギーや環境問題についても幅広く解説しています!洋上風力発電で未来をひらく、能代の「いま」をご覧ください。

洋上風力資源ポテンシャルの約80%は水深60mよりも深い

世界の浮体式洋上風力発電の設置状況 出典:GWEC

世界の浮体式洋上風力発電の設置状況
出典:GWEC

 

着床式が設置できる環境を有する水深60m以下の海域は、世界の海洋面積に占める割合としては、実はあまり高くありません。

世界風力エネルギー協会(GWEC)が発表した『GLOBAL OFFSHORE WIND REPORT 2021』によると、世界の洋上風力資源の80%は、水深60mを超える深海にあります。

浮体式洋上風力(FOW)発電の最適な場所として日本が挙げられており、その他の地域として、欧州、韓国、台湾、中国南海岸、南アフリカ、オーストラリア、ニュージーランド、アルゼンチン、チリ、アメリカ西海岸等が選ばれています。

欧州では、2009年ノルウェーで最初のMW規模の浮体式洋上風力(FOW)タービンが設置されました。 その後、英国が2017年に出力30MWHywind Scotland(6MW風車×5基)の稼働をはじめ、これをきっかけに30~50MW規模となる浮体式発電事業が複数操業されています。

同レポートによれば、浮体式洋上風力(FOW)の世界累積導入量は、2020年末時点で73.33MWに達しました。国別では、英国が最も多く32MW、次いでポルトガル25MW、日本12MW、ノルウェー2.3MW、フランス2MWとなり、日本は世界第3位となりました。

なお、2023年末現在では、日本では55MWの浮体式洋上風力発電設備が稼働しています(日本風力発電協会 )

 

2030年浮体式洋上風力(FOW)発電拡大予想|日本は韓国と1位タイ

浮体式洋上風力(FOW)の拡大予想 出典:GWEC

浮体式洋上風力(FOW)の拡大予想
出典:GWEC

 

GWECは、浮体式洋上風力発電の導入量は2030年には6,254MWに拡大すると予想しています。上記のグラフは、国別の拡大予想です。日本では、浮体式洋上風力発電施設の稼働が2028年以降急激に加速し、2030年には1,000MWとなると推定されています。その影響は大きく、世界の導入量の約16%を占め、韓国と並んで世界1位タイとなっています。

浮体式洋上風力発電の導入目標は各国で設定されており、2030年導入目標量は、英国12GW(12,000MW)、アメリカ7.6GW(7,600MW)、フランス6GW(6,000MW)、ノルウェー1.5GW(1,500MW)など、合計34GW34,000MW)以上です。

日本でも、202012月に閣議決定された「洋上風力産業ビジョン」に基づき、2030年浮体式洋上風力発電の累積目標導入量は5GWと設定されています。

世界の浮体式洋上風力(FOW)発電:ヨーロッパ

欧州地域の地図 出典:iStock

欧州地域の地図
出典:iStock

 

世界に先駆けて浮体式洋上風力発電事業に乗り出した欧州では、すでに1事業あたり1GW(1,000MW)規模の浮体式洋上風力発電事業が開発される段階に入っています。数年前より相次ぐ浮体式洋上風力発電事業を通じ、長期操業性能や故障率等のデータが蓄積されており、浮体式洋上風力発電事業に対する保険契約や銀行融資の条件は整いつつあります。

英国スコットランド沖では、合計出力約25GW25,000MW)の洋上風車が設定できる17海域を対象としたScot Windと呼ばれる公募入札が実施されました。このうち11海域が、合計15GW15,000MW)の浮体式洋上風車を設置できる海域です。20221月、最大規模にあたる2.6GW(2,600MW)の浮体式事業海域を落札したのは、日本の丸紅、英国のSSE、デンマークのCIPからなる3社連合でした。

 

世界の浮体式洋上風力(FOW)発電:東アジア

東アジア海域の浮体式洋上風力タービンイメージ 出典:Chat-GPT4にて編集部作成

東アジア海域の浮体式洋上風力タービンイメージ
出典:Chat-GPT4にて編集部作成

 

アジアで最も浮体式洋上風力のポテンシャルを有するのは日本ですが、浮体式洋上風力発電事業の開発で先行しているのは韓国です。現在、沖合58km、出力200MWのDonghae-1や沖合70km、出力800MWのFireflyが代表的なプロジェクト。Firefly2027年の商業運転開始を目指し、建設、設置が進んでいます。

蔚山(ウルサン)の巨大ドックからは、自国のEEZ水域だけではなく、日本海やアメリカ西海岸沖への曳航も可能です。

また、中国も浮体式洋上風車による実証発電を開始しています。

世界の浮体式洋上風力発電:その他の国々

様々な国 出典:iStock

様々な国
出典:iStock

 

アメリカの浮体式洋上風力発電の状況

太平洋周辺国では、アメリカは浮体式洋上風力の最大市場とされています(次点は日本)。

米国の離岸60km以内の海域での浮体式洋上風力の発電可能量は、世界最大の年間585GW時で、日本の2.6倍あります。主要海域は、水深が深い西岸沖とされています。

 

地中海エリアの浮体式洋上風力発電の状況

ヨーロッパの洋上風力発電といえば、イギリスや北欧が代表的なエリアですが、GWECは、その他のエリアにもポテンシャルがあるとしています。

地中海に面する国々の場合、ギリシャでは公式の浮体式洋上風力目標はありませんが、GWECは413GWの浮体式洋上風力のポテンシャルを持っていると推定しています。ギリシャの環境エネルギー省による洋上風力プロジェクト開発のための立法が準備中となり、その関心は国内外で高まっています。

イタリアでも、公式目標はないものの、約750MWの浮体式洋上風力プロジェクトが計画されています。

 

世界の浮体式洋上風力(FOW)発電情勢まとめ

世界の洋上風力 出典:Chat-GPT4にて編集部作成

世界の洋上風力
出典:Chat-GPT4にて編集部作成

 

世界中で注目されている浮体式洋上風力(FOW)発電。GWECは、世界第2位のポテンシャルを持つ日本に注目しており、2018年以来、日本の洋上風力成長を積極的に支援しています。日本風力発電協会と連携し、業界をまとめる「日本洋上風力タスクフォース」を設立するなど、その連携は強化されています。

今後、日本のエネルギーポジションへの期待が高まります。

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