風力発電所の設置コストを解説

出典：iStock

 

洋上風力発電設備の設置にはどのくらいの費用がかかるのでしょうか。

風力発電設備の風車１基あたりの開発コストはいくらでしょうか？！

出典：編集部にて撮影「能代の風車」

 

秋田県で始まった国内初の洋上風力発電の大規模商業運転。この事業にどれだけの金額がかかっているか、皆さんはご存知でしょうか。

秋田県で始まった大規模な洋上風力発電事業は、総事業費約1,000億円の事業です。秋田港と能代港の港湾区域に33基の洋上風力発電の風車を立てて、洋上風力発電を行っています。

総事業費1,000億円を、風車33基で割ると、約30億円になります。実際には、このコストに運転コストや維持コスト等がかかります。
このプロジェクトで使われている風車は直径117ｍの風車で、港湾区域内に設置されたものですが、開発コストは風車1基あたりの大きさや、陸からの距離等に依存します。

洋上風力発電設備で採用された風車の特徴

ひとくちに風車といっても、いろいろな種類があるのをご存知でしょうか。
「秋田洋上風力発電プロジェクト」で採用された風車について、ご紹介いたします。

デンマークのベスタス（Vestas Wind Systems）製
出力4.2MW　モデルV117-4.2 MW(TM)Typhoon

この風車を開発したメーカー『ベスタス』は、風力発電の盛んなデンマーク(国内の電力総消費量の46％以上が風力発電となっている)に本拠地があり、風車タービンで世界1位のシェアを持っているメーカーです。

海面からブレードの最高点までの高さは150m。ブレードの長さは1枚57.2ｍで、その重さは70tにもなります。中・高風速域で最大の電力を生み出し、台風や強風などの日本特有の気候条件に向けて設計された風車です。

直径117mのモデルを使っていますが、べスタス社が日本で販売しているモデルは以下の6種類。この中では小ぶりな風車を採用しています。

 

出典：べスタスジャパン

 

洋上風力発電では信頼のおけるメーカーと実績のある機種を選ぶことが重要です。一度風車を設置すればその後のメンテナンス期間は20年に及びます。長期間にわたる風車の運転で、
迅速に対応できるメンテナンス体制を備えていることがポイントとなります。

風車の最高到達点は150ｍ

能代港から見える洋上風力発電所　出典：編集部にて撮影

 

本プロジェクトで採用された風車の最高到達点は150m。40階建てのビルに相当しますが、洋上風力発電の風車としては一般的なサイズです。
洋上風力発電の設備は規模を大きくする方が、区域全体のコスト効率がよくなるため、日本でも年々風車の大型化が進んでいます。

1MWメガワット＝電球1万個（洋上風力発電設備1基は4.2MW）

風車の発電量は、機種によって違いがあります。例えば「秋田洋上風力プロジェクト」で使われている風車は、1基あたりの最大出力が4.2MW(メガワット)。MＷ(メガワット)と言われても分かりづらいですよね。以下でご説明します。

電力は、W（ワット）の単位で表されます。身近なものでいうと白熱電球などに「100W」と表示されているのをみたことがあると思います。1,000W＝1kW(キロワット)ですから、1,000Wで「100W」の電球10個分になります。

では1ＭＷ(メガワット)では、どの位でしょうか。
1MW＝1,000 kW＝1,000,000Ｗ
1MＷ(メガワット)は「100W」の電球1万個分になります。

 

出典：編集部にて作成 「1MWは電球1万個分」

 

メガワット単位まで大きくなってしまうと、電球で考えてもあまりピンときませんね。2023年6月現在で電気代の目安が1kW31円です。1メガワット＝1000kWですから電気代であれば31,000円位だと考えてみても良いかと思います。

「秋田洋上風力発電プロジェクト」で、使用している風車は1基あたり4.2MWの出力が得られます。4.2MW風車×33基＝でおおよそ140MWとなり、一般家庭約13万世帯の消費電力量を生み出す計算です。

秋田県能代市で洋上風力発電所の国内初プロジェクトが進行中！

日本の洋上風力発電事業は秋田県能代市から始まります。デンマークのように国内の電力消費量の半分を風力発電でまかなえる日が訪れるのでしょうか。クリーンエネルギーが普及した未来が期待されます。